従業員に交際相手がいる場合、彼なり彼女なりの家から会社に出勤することはよくあることである。では、恋人宅からの出勤途中に交通事故にあった場合、労災保険は適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争でラインラント・ファルツ州社会裁判所が昨年9月に判決(訴訟番号:L 4 U 225/10)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのはラインラント・ファルツ州内の企業に勤める男性社員。同男性は婚約者宅から自動車で出勤した2009年2月11日早朝、道路の凍結でスリップ事故を起こし、怪我を負った。これを受けて労災機関に労働災害の認定を請求したところ拒否されたため、提訴した。
\第1審のコブレンツ社会裁判所は原告の訴えを認める判決を下したものの、第2審のラインラント・ファルツ州労裁は1審判決を破棄し、原告敗訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、原告宅と職場の距離が6.57キロメートルであるのに対し、婚約者宅と職場の距離はその8倍強の55.02キロと極端に長いことを問題視。また、婚約者宅を「住居」としてではなくあくまで「宿泊先」として利用していたことも理由に労災とは認められないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。
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