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2013/1/30

総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツ経済に底打ち感、企業景況感が3カ月連続で改善

この記事の要約

ドイツ経済はすでに景気の谷を通過したもようだ。2012年第4四半期は国内総生産(GDP)が前期比で実質0.5%減少するなど先行きへの懸念が強まったが、景気の重要な先行指標である企業景況感はこのところ上昇基調が継続。消費者 […]

ドイツ経済はすでに景気の谷を通過したもようだ。2012年第4四半期は国内総生産(GDP)が前期比で実質0.5%減少するなど先行きへの懸念が強まったが、景気の重要な先行指標である企業景況感はこのところ上昇基調が継続。消費者景況感もこれまで同様、高い水準が続いており、GDPが13年第1四半期もマイナス成長となりドイツが景気後退局面入り(2四半期連続のマイナス成長)するとの懸念は弱まってきた。

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Ifo経済研究所が25日発表した13年1月のドイツ企業景況感指数(05年=100)は前月の102.4から104.2へと1.8ポイント上昇し、3カ月連続で改善した。同指数が3カ月連続で改善すると、景気が好転する可能性が高いとされ、Ifoのハンスヴェルナー・ジン所長は「ドイツ経済は希望に満ちて新年のスタートを切った」との見方を示した。

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今後6カ月の事業見通しを示す期待指数は前月の98.0から100.5へと上昇し、4カ月連続で改善した。同指数が指標となる100を超えるのは12年5月以来で、8カ月ぶり。事業の現状判断を示す指数も前月の107.1から108.0へと0.9ポイント上昇し、2カ月ぶりに改善した。(下のグラフ参照)

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部門別でみると、製造業は現状判断と期待指数が前月に引き続きともに上昇。工場稼働率は4カ月ぶりに上向いた。建設業は期待指数が大きく上昇し、現状判断も改善した。

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小売業は現状判断が前月をやや上回り、期待指数は横ばいにとどまった。卸売業は現状判断と期待指数がともに悪化している。

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企業景況感の改善を受け、ドイツ株価指数(DAX)は同日終値が1.4%高の約7,860となり、5年ぶりに7,800の大台に乗った。市場には8,000を超えるのは時間の問題との見方が広がっている。

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政府は16日、13年のGDP成長率を従来予測の1.0%から0.4%へと引き下げた。だが、実体経済を担う企業の感触はやや良好で、独産業連盟(BDI)のウルリヒ・グリロ新会長は29日、今春から経済が大幅に上向くとして同0.8%成長するとしたBDIの予測を堅持した。

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消費者景況感3カ月ぶり上向く

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市場調査大手のGfKが29日発表したドイツ消費者景況感指数の2月向け予測値は5.8となり、前月の5.7(修正値)からやや上昇した。同指数の改善は3カ月ぶり。労働市場や物価水準など消費を取り巻く環境がもともと良好だったところに、景気悪化懸念が弱まったことが大きい。

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景気の見通しに関する1月の指数(2月向け予測値の算出基準の1つ)はマイナス11.3となり、前月のマイナス17.9から6.6ポイント上昇した。南欧諸国の財政状況にはこのところ安定化の兆しが出ており、ドイツ企業景況感指数も改善傾向が続く。消費者はそうしたニュースに触れて景気に対する信頼感をやや取り戻したもようだ。

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所得の見通しに関する指数(同)は36.0に達し、前月の21.2から14.8ポイント上昇した。雇用情勢が今年も安定的に推移する公算が高いほか、インフレ率が低く購買力が底上げされていることが大きい。

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失業懸念が弱いため、心理的にローンを組みやすい状況にあり、高額商品の購入意欲に関する指数(同)も前月の20.1から35.3へと大きく改善した。預金金利がインフレ率を下回っていることも消費マインドを後押ししている。投資銀行バークレイズのアナリストは『ハンデルスブラット』紙に対し、今年は個人消費がドイツ経済をけん引するとの見方を示した。

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