プロバイダー側のトラブルによりDSL回線が利用できなかったとして顧客ユーザーが損害賠償を求めていた裁判で、最高裁の連邦司法裁判所(BGH)は24日、顧客は原則として損賠請求できるとの判断を示した。インターネットは自動車や住宅同様「生活に必要不可欠」としたうえで、これを利用できないことによる不便は、利用者が実際に損害を被ったかどうかにかかわりなく、補償の対象になると言い渡した。ユーザーがスマホなど代替手段を持っている場合は補償の対象外となる。(訴訟番号:III ZR 98/12)
\訴訟を起こしていたのは、プロバイダー大手1&1とDSL回線を契約していたバイエルン州の男性。同男性は料金体系変更に伴うプロバイダー側のミスが原因で、通話・ファクス・データ通信の全ての回線を2カ月間、利用できなくなった。1&1はこれに対し、データ通信が可能なプリペイド式携帯電話購入費用を負担したものの、男性は「自宅の回線が使えなかったことで不便を強いられた」として、1日当たり50ユーロの損害賠償を請求した。
\BGHの裁判官は、男性が契約していた3つ(通話・ファクス・データ通信)の回線のうち、ファクスについては「文書や画像を郵便より早く手軽に送る手段に過ぎず、生活に不可欠とはいえない」として補償対象から外した。一方、通話回線とインターネットについては「生活に必須」と認定、賠償額は「同等の接続サービスの市場平均料金から、プロバイダーの利益を差し引いた額」と明確に基準を提示した。ただ、ユーザーが代替手段を持っている場合は利用できない不便がそもそも存在しないとして、損害賠償は請求できないと明言した。
\原告の男性のケースでは、◇DSLとほぼ同等のモバイル通信を利用できた◇端末購入費用はプロバイダーからすでに弁済済み――として、損害賠償は請求できないと指摘。そのうえで、原告がインターネット接続可能な固定電話を設置できなかったかどうかが前審では解明されていないとして、審理をコブレンツ高等裁判所に差し戻した。
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