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2013/1/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

派遣社員は解雇保護法上の「従業員」に入るか?

この記事の要約

従業員数が通常的に10人以下の企業で働く被用者で2004年1月1日以降に採用された者には、解雇保護法(KSchG)の規定が一部の例外を除いて適用されない。これは同法23条1項第3文に明記されたルールであり、適用されるのは […]

従業員数が通常的に10人以下の企業で働く被用者で2004年1月1日以降に採用された者には、解雇保護法(KSchG)の規定が一部の例外を除いて適用されない。これは同法23条1項第3文に明記されたルールであり、適用されるのは同11人以上の企業に限られる。では、この11人のなかには派遣社員も含まれるのだろうか。この問題をめぐる係争で、雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が24日に判決(訴訟番号:2 AZR 140/12)を下したのでここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは被告企業に07年7月26日付で採用された社員。同社には雇用主と労働契約を結ぶ社員が10人いた。

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原告は09年11月24日付の文書で、同年末日付の解雇を通告されたため、その取り消しを求めて提訴。被告企業では派遣社員も含めると11人以上が勤務していたとしてKSchGの適用を訴えた。

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原告は第1審と第2審で敗訴したものの、最終審のBAGは2審判決を破棄し、裁判をニュルンベルク州労働裁判所に差し戻した。判決理由で裁判官は、KSchGの規定が従業員数10人以下の小規模企業に適用されないは解雇撤回訴訟に伴う経費が経営の大きな負担になることを考慮してのことだと指摘。この事情を踏まえると、KSchG上の従業員数を計算する際に被告企業に勤務する正社員と派遣社員を区別することは法解釈上、妥当でないとの判断を示した(派遣社員も原則としてKSchG上の従業員に該当する)。そのうえで、原告解雇の時点で被告企業に勤務していた派遣社員が通常的に業務を行っていたのかどうか(業務の量がどの程度だったのか、つまりそれなりの量があったのかそれともわずかだったのか)が下級審の審理では解明されていなとして、この点を明らかにして判決を下すよう指示した。

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