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2013/2/6

総合 - ドイツ経済ニュース

ユーロ相場上昇、欧州の輸出産業に現時点で影響なし

この記事の要約

ユーロ相場の上昇基調が続いている。2日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙によると、昨年7月から現在までの上げ幅は対米ドルで12%を超え、対円では22.7%に達した。欧州メーカーの価格競争力にはこれまでのとこ […]

ユーロ相場の上昇基調が続いている。2日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙によると、昨年7月から現在までの上げ幅は対米ドルで12%を超え、対円では22.7%に達した。欧州メーカーの価格競争力にはこれまでのところ大きな影響が出ていない。

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欧州連合(EU)は昨年6月末の首脳会談で、総額1,200億ユーロの成長戦略「成長・雇用協定」や銀行監督の一元化、新たな債務危機対策で合意した。特に債務危機対応では、EUの基金による各国の銀行への直接支援、国債購入を可能にするなど、柔軟に金融支援を行う枠組みを設けることを決定。これは市場の事前予想を上回る内容で、ユーロ危機終息へ大きな一歩と評価された。

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ユーロ相場の上昇が欧州経済にマイナスの影響をもたらす可能性は現時点では低いもようだ。コメルツ銀行のエコノミストはFAZ紙に対し、欧州輸出産業の価格競争力に影響が出る為替レートは対ドルで「1ユーロ=1.40ドルを大幅に上回る水準」と明言した。1日の終値は1.3644ドルにとどまっており、警戒水準には達していない。

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1月30日に始まった欧州中央銀行(ECB)長期流動性供給オペ(LTRO)の早期返済では1日までに域内の278行が応じ、総額は1,370億ユーロに上った。米連邦準備理事会(FED)と日本銀行で資産規模の拡大が今後も続く見通しであるのに対し、ECBでは縮小に向かっており、ユーロ高は今後も続くとみられる。

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欧州経済はこのところ、回復の兆しが強まっており、金融情報会社マークイットが1日発表した1月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月の46.1から47.9へと上昇した。また、財務危機の震源地の1つであるスペインでは、小企業向けの銀行融資金利が12月に平均5.15%となり、昨夏の6.6%から大幅に低下した。同金利はフランス、ポルトガルなど他のユーロ加盟国でも下がっているという。

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