主要な特許薬が相次いで失効を迎えるなか、製薬メーカーが生き残りに向けてさまざまな方策を打ち出している。米国のファイザーやアボット・ラボラトリーズは開発パイプラインの絞り込みや非中核事業の切り離しなど、組織・事業のスリム化で危機に対応。一方、ノバルティスやロシュ、サノフィなど欧州のメーカーはジェネリック薬、一般薬(OTC薬)、ワクチンなど特許薬以外の分野で売上減を相殺するとともに、次のドル箱獲得に向けた新薬開発の手も緩めないなど、対照的な動きをみせている。5日付『南ドイツ新聞』が報じた。
\米ファイザーは1月31日、主力の処方せん薬品事業に経営資源を集中する戦略の一環として、傘下のアニマルヘルス事業(ゾエティス)の新規株式公開(IPO)を行い、22億ドルを調達した。同社は2012年、乳幼児用食品事業をスイスのネスレに売却した効果で増益となったものの、売上高は前年から1割減した。
\アボット・ラボラトリーは、後発薬を除く製薬事業を分社化して上場させるとともに、診断・医療機器、栄養製品、後発薬事業をアボットブランドで束ねあげた。成長スピードや市場が異なる製薬事業を切り離すことで経営効率を引き上げる狙いだ。
\スイスのノバルティスは12年通期決算で、降圧剤「ディオバン」の特許切れが響き3%の減収となったものの、後発医薬品子会社のサンドやOTC薬、ワクチンの売り上げなどで特許切れの打撃を緩和、増益を確保した。
\ロシュは08年、特許切れ問題を踏まえて米バイオ大手ジーンテックの経営権を取得。12年には完全買収した。同社はがん治療薬事業への依存度を引き下げるため、ジーンテックを通した新薬開発に注力しており、開発パイプラインには「十分な資金」を投入しているという。主力のがん治療薬販売が好調なため、これまでのところ増収増益を確保している。
\