新規特許薬の価格取り決めに関する法令(AMNOG)に基づき薬効評価を担当する第三者機関G-BAは21日、ベーリンガー・インゲルハイムの2型糖尿病治療薬「リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)」について、既存薬より優れた効果は「ない」とする査定結果を発表した。同薬は提出した治験データの不備から初回査定でネガティブな評価が下っており、ベーリンガーは治験データを提出し直したうえで再審査を受けていた。2度目の査定でも評価が変わらなかったことに対し同社は強い不満を表明、独市場に投入しないことを決定した。
\リナグリプチンはDPP阻害薬の1つ。血糖値上昇に伴い分泌される「インクレチン」というホルモンを不活性化する酵素「DPP-4」をブロックし、インクレチンを活性化することで血糖値をコントロールする。
\G-BAの委託を受けて新薬を査定する第三者機関IQ-Wigは、スルホニル尿素薬を比較対象としてリナグリプチンの治療効果を評価。その結果、既存薬を上回る治療効果が認められないとの判断を下した。
\AMNOGの規定によれば、際立った治療効果が認められなかった新薬の価格は、G-BAが比較に使用した既存薬(ジェネリック薬)と同等かそれ以下に制限される。『ハンデルスブラット』紙によると、リナグリプチンの薬価は年760ユーロだが、スルホニル尿素薬は同55ユーロと10分の1にも満たない。
\ベーリンガーの広報担当者は「リナグリプチンに対するIQ-WiGの査定は医学的・学術的な見地から問題があることが多くの科学者から指摘されていた。それにもかかわらずG-BAが査定結果を受け入れたことは、全く理解できない」と批判した。リナグリプチンはドイツ市場で販売されていないが、同社はネガティブな結果を受けて独市場に投入しないことを最終決定した。
\