性別や年齢、障害を理由に差別された場合、被用者や採用応募者は損害賠償を請求できる。これは一般平等待遇法(AGG)15条2項に記されたルールである。この条文に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決(訴訟番号:8 AZR 180/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判は重度の障害を持つ女性の事務職員が連邦議会(下院)を相手取って起こしたもの。同職員は1996年から大統領府の職員として勤務していたが病気で長期病欠。元の職場に復帰できないことが職場復帰手続き(Betriebliches Eingliederungsmanagement
\)のなかで明らかになったため、大統領府は連邦議会に原告に適したポストがないかを打診した。
\連邦議会は2010年8月20日、議会の副議長事務所の第2秘書のポストが空いたため、採用募集を実施した。原告はこれに障害者であることを明記したうえで応募し、書類選考を通過。面接試験を受けたものの、採用されなかった。
\連邦議会の通知書には不採用の理由が記されていなかったため、原告はAGGに基づく損賠訴訟を起こすと通知。連邦議会はこれを受け、不採用としたのは面接での印象が弱かったためで、障害を持っているためではないと説明したが、原告は納得せず提訴した。
\裁判では第1審と第2審が原告の訴えを退け、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告は障害を持っているがゆえに採用されなかったと推測させる事実(差別の兆候)を提示できなかったと言い渡した。
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