雇用関係を解除する場合は、その旨を文書で通告しなければならない。これは民法典(BGB)623条に記されたルールである。では、口頭での雇用関係の解除はすべて無効なのだろうか。この問題をめぐる係争で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所は昨年2月に下した判決(訴訟番号:8 Sa 318/11)で、例外的に有効なケースもあるとの判断を示した。
\裁判は美容師が雇用主を相手どって起こしたもの。同美容師は雇用関係の即時解除を電話で何度も雇用主に通告した。雇用主は予告期間を設けたうえで退職するよう要請したものの、聞き入れられなかったため、2010年4月6日付の文書で即時解雇を通告。念のために予告期間を設けた通常解雇も通告した。
\原告理容師はこれに対し、即時解雇は無効だと主張。その取り消しを求めて提訴した(通常解雇については異議を申し立てていない)。
\第1審のコブレンツ労働裁判所は原告の訴えを棄却。第2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用関係は原告が雇用主に電話をした3月23日の時点で解除されていると指摘。雇用主から即時解雇を通告されてからその撤回を求めることはBGB242条に定められた信義義務(Treu und Glauben)に反するとの判断を示した。
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