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2013/12/4

経済産業情報

「ソルベンシーIIで生保業界に淘汰の波」、金融庁長官が警鐘

この記事の要約

連邦金融監督庁(BaFin)のフェーリックス・フーフェルト長官は11月26日にフランクフルト大学で開催されたイベントで、欧州連合(EU)で2016年に導入される新たな保険業規制(ソルベンシーII)によって国内の生命保険業 […]

連邦金融監督庁(BaFin)のフェーリックス・フーフェルト長官は11月26日にフランクフルト大学で開催されたイベントで、欧州連合(EU)で2016年に導入される新たな保険業規制(ソルベンシーII)によって国内の生命保険業界が厳しい状況に立たされるとの見解を示した。歴史的な低金利で運用収益が悪化しているところに、自己資本ルールの厳格化が追い打ちをかけ、体力の弱い生保が倒産する恐れがあるとしている。ただ、具体的な見通しについては「5社か10社か、何とも言えない」と明言を避けた。

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ソルベンシーIIは、銀行に対する自己資本比率の最低基準を定めた新BIS規制に相当する保険分野の新ルール。保険会社に一定以上のソルベンシーマージン(不測の事態が発生した場合でも契約通りに保険金を支払うための「余裕資金」のことで、広義の自己資本)の保有を義務づけることを柱としており、リスク資産の評価技法、ガバナンスに関する共通ルールなども盛り込まれている。

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BaFinの試算によると、新規制の対象となる保険会社が新資本基準を満たすためには、1年当たり計30億~50億ユーロの資本積み増しが必要になる。フーフェルト長官は「業界にとってこの要求はかなり厳しいと言わざるを得ない」と述べ、ソルベンシーIIが手ぬるいとするEU関係者の見解に疑問を投げかけた。

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