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2014/7/2

経済産業情報

ドイツのSEPA移行、ほぼ完了

この記事の要約

欧州内のユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への完全移行(8月1日)まで残り1カ月を切るなか、ドイツではSEPAへの対応が着実に進んでいるようだ。独連邦銀行(中銀)のティ […]

欧州内のユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への完全移行(8月1日)まで残り1カ月を切るなか、ドイツではSEPAへの対応が着実に進んでいるようだ。独連邦銀行(中銀)のティーレ総裁が6月25日明らかにしたところによると、SEPAシステムによる国内の振り込みの割合は5月時点で90%、引き落としで82%に達した。

SEPAは欧州連合(EU)加盟28カ国にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、モナコを加えた33カ国で小口決済のインフラを統合し、ユーロ建ての口座振込、口座引落し、カード決済について、国内外の区別なく全て同じ条件で決済できるようにするためのスキーム。SEPA導入によって域内では外国送金の扱いがなくなるため、送金手続きを行った翌営業日には受取人の口座に入金されるようになり、手数料も大幅に引き下げられる。また、国ごとに異なる決済ルールが統一されることで、同一条件による競争が促されると期待されている。

当初の計画では2月1日に完全移行の予定だったが、一部の加盟国でITシステムの更新でトラブルが発生するなど対応に遅れが出ていたことから、EUの欧州委員会は今年1月9日、導入期限の6カ月延長を決めた。個人顧客は16年まで猶予が認められている。

ティーレ総裁は「金融機関は8月1日以降、SEPA以外の方式での企業からの送金・引き落とし依頼に一切応じられなくなる」と指摘。切り替えが終わっていない企業は流動資金が不足するなど不利益を被る恐れがあるとして、対応を急ぐよう呼びかけた。