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2015/5/20

経済産業情報

仕事をしない大卒者が先進国最多、人的資源としての活用が課題に

この記事の要約

仕事を持たず求職活動もしないドイツの大卒者は、大卒者全体(65歳以上の高齢者を含む)の20.9%を占める――。世界経済フォーラムのレポートをもとに『ヴェルト』紙が報じたもので、先進国では最も高いという。同国は社会の高齢化 […]

仕事を持たず求職活動もしないドイツの大卒者は、大卒者全体(65歳以上の高齢者を含む)の20.9%を占める――。世界経済フォーラムのレポートをもとに『ヴェルト』紙が報じたもので、先進国では最も高いという。同国は社会の高齢化を背景に専門人材が不足していることから、これらの活用されていない人的資源の就労促進が今後の課題となりそうだ。

同比率が最も高い国はサウジアラビアで、37.3%に達する。これにセルビア(31.2%)、モルドバ(30.8%)が続き、ドイツは10位となっている。これらワースト10の内訳をみると、ほとんどの国は(1)失業率が高く、大学を卒業しても職がない(2)女性の大学進学は認められているが、就職が大幅に制限されている――のどちらかに該当する。ハンガリーやブルガリアなどの東欧諸国は前者、サウジアラビアやモロッコなどのイスラム諸国は後者に当たる。

ドイツはそのどちらでもないにもかかわらず、同比率が高いのは専業主婦となる大卒者が多いためだ。共稼ぎ世帯で妻の税負担が重くなりやすい税制が女性の就労意欲をそいでいることが大きい。このほか、早期退職ルールの適用を受けて定年前にリタイアする人が多いことも足かせとなっている。

レポートの作成者は高齢化の影響がドイツよりも深刻な日本が、経済競争力を保つために女性と高齢者の活用に取り組みだしていることを指摘。ドイツは日本を参考にすべきだとの見解を示した。