ツ反検査薬が欧州で不足、血液検査キットの需要拡大

結核菌感染の診断に用いるツベルクリン反応検査薬がドイツをはじめとする欧州諸国で不足している。生産が計画通りに進まないためで、需要をカバーできない状況だ。難民の急増で同検査薬の需要はさらに増えていることから、現場の医師は頭を悩ませている。1日付『ヴェルト』紙が報じた。

ドイツで利用されるツ反検査薬はデンマークの国立血清学研究所(SSI)が製造している。SSIではここ数年、同検査薬の生産で問題が発生。生産規模が落ちている。昨年は2013年実績(約100万セット)の3分の2にとどまった。独結核撲滅中央委員会(DZK)の関係者は「(ツ反検査薬の)生産は複雑で制御が難しい」と事情を説明する。

供給不足はドイツのほか、スイス、ベルギー、オランダ、北欧諸国でも深刻になっている。ドイツ向けは今春まで供給できない見通しという。

ドイツで利用が認められているツ反検査薬はSSI製の「PPD RT23」という製品に限られる。それ以外のツ反検査薬を利用する場合は医師が自らの責任で行わなければならない。

結核感染の診断は血液検査でも可能だが、ツ反検査に比べてコストが大幅に高い。それでも血液検査キットを生産する独バイオ企業キアゲンではここ数カ月、国内からの受注が増えているという。

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