米法律事務所ハーゲンス・バーマンが自動車大手の独ダイムラーを相手取って集団訴訟を起こした。同社のディーゼル技術「ブルーテック」を搭載した車両が排出する窒素酸化物(NOx)の量は米国の環境基準を大幅に上回っていると批判。イリノイ州の裁判所に19日、訴状を提出した。ダイムラーは「訴えに根拠はない」としており、争う構えだ。
同法律事務所は「メルセデスベンツ」ブランドの14モデルを対象に訴訟を起こした。訴状によると、これらモデルのNOx排出量は許容上限値の平均19倍で、気温10度以下の環境では最大65倍に達する。ハーゲンス・バーマンはダイムラーがブルーテックを世界で最も清浄な技術として宣伝していることを「不適切で誤りだ」と批判した。
メルセデスベンツの「C220」に関してはオランダの応用科学研究機関(TNO)が行った検査でNOx排出量が欧州基準を上回っていることがすでに確認されており、独環境保護団体DUHは型式認定の取り消しを独連邦陸運局(KBA)に申請した。ダイムラーはTNOの検査結果を認めたうえで、気温が10度以下の環境ではエンジンを保護するために排ガス処理機能が低下するように設定していることを明らかにしている。
独自動車メーカーではフォルクスワーゲン(VW)グループの大規模な排ガス不正問題が昨年秋に発覚した。メルセデスベンツ車でも不正が確認されると、高品質を売り物とするドイツ車のイメージに傷がつく恐れがある。