独製薬大手バイエル(レバークーゼン)が製造する抗うつ剤の処方薬「ライフ900(Laif 900)」で供給不足が発生している。植物由来の原料を十分に確保できないためで、広報担当者は「その種の原料の質には波がある」と原因を説明した。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が5日付で報じた。
ライフ900はセイヨウオトギリソウを原料に用いている。広報担当者によると、最近調達したセイヨウオトギリソウから取り出すことができる有効成分の量が想定量を下回っている。
独公的健康保険の年次レポートによると、ライフ900の2014年の国内処方量(公的健保の加入者のみ)は3,000万DDD(1日に投与される規定量)強で、セイヨウオトギリソウを原料とする抗うつ剤の処方薬ではダントツで多い。2位の「ノイロプラント」は240万DDD、3位の「ヤルジン」は90万DDDにとどまる。
バイエルは植物由来の医薬品を手がける子会社シュタイガーヴァルト(Steigerwald)で同薬を生産している。同子会社が手がけるOTC(一般医薬品)のうつ病薬「ライフ900バランス」では供給不足が起きていない。