被用者のネット閲覧履歴、雇用主は極秘チェックできるか

業務用パソコンを利用したインターネットの私的な閲覧が認められていないにも関わらず被用者が閲覧を行えば処分される。では、被用者がネットを私的に利用していないかどうかを雇用主が極秘に調べることは認められるのだろうか。それとも、そうした行為は個人情報の不当な取得に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号: 5 Sa 657/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はネットの私的閲覧を理由に解雇通告を受けた被用者が雇用主を相手どって起こしたもの。同被用者は業務用パソコンで休憩時間中にネットを私的に閲覧することは認められていたものの、勤務中は禁じられていた。

雇用主は同被用者が勤務時間中にネットを私的目的で閲覧している疑いが浮上したことを受けて、同被用者のブラウザの閲覧履歴を本人に伝えず調査。計30日のうち合わせて約5日間も私的に閲覧していたことが分かったため、即時解雇を通告した。

これに対し原告被用者は、本人の同意を得ない閲覧履歴の調査は個人情報の不当な取得に当たると批判。違法な手段で得られた証拠を理由に解雇するのは不当だとして解雇取り消しを求める裁判を起こした。

2審のベルリン・ブランデンブルク州労裁は原告敗訴を言い渡した。判決理由で裁判官は、被告雇用主が調べた原告の閲覧履歴はプライベートな情報だが、不正をチェックするために本人の同意を得ずにブラウザ閲覧履歴を記録・分析することは連邦データ保護法(BDSG)で認められていると指摘した。

裁判官は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めており、判決は確定していない。

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