シスコ―独に5億ドル投資、IoTなどの進展にらみ―

コンピューターネットワーク機器大手の米シスコは8日、今後3年間でドイツに計5億ドルを投資すると発表した。「モノのインターネット(IoT)」などデジタル化の進展をにらんだ措置で、技術革新、セキュリティ、職業研修の3分野に照準を合わせる。IBMも昨年末、IoT部門の世界統括拠点をミュンヘンに設置することを明らかにしており、米IT大手はドイツ事業強化の姿勢を打ち出している。

シスコは今後ドイツで、技術革新を目的とする中堅企業向けのワークショップを定期的に開催していく。ワークショップにはスタートアップ企業などを招待。経済・社会のデジタル化に伴う事業モデルの刷新などを協議する場とする考えだ。セキュリティ、クラウド、IoT分野を中心にスタートアップ企業への投資も強化していく。

セキィリティ分野では米国とは異なるドイツ独自のプライバシー、データ保護規制を調査し、クラウドサービス用ソフトウエアアーキテクチャーに反映させていく。米IT大手はクラウドで強い競争力を持つものの、米国家安全保障局(NSA)の大規模なスパイ活動が暴露されたことを受けて、米国のクラウドに情報を保存することに懸念を持つ企業がドイツで増加していることに対応する狙いだ。このほか、ITセキュリティの中核研究センターを開設し、顧客企業やスタートアップ企業、研究機関と共同で同分野の課題解決に取り組んでいく。

職業研修はデジタル化の進展を背景に幅広い業界でITに関する知識が必要不可欠となっていることを踏まえた取り組みで、例えば介護士向けにはネット医療、電気工向けにはスマートグリッドの研修を実施する。シスコはすでにそうした取り組みをドイツで行っており、これまでにおよそ3万5,000人が参加した。同社はこれを今後3年以内に8万人へと拡大する目標だ。

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