ティッセンクルップ―ブラジル粗鋼合弁を完全傘下に―

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップ(エッセン)は4日、ブラジルの粗鋼合弁CSAの株式26.87%を現地鉱山大手のヴァーレから取得し100%子会社化することで合意したと発表した。CSAは発足当初から経営状態が悪く、出資2社は売却を模索してきたが、両社の思惑がかみ合わず売却交渉がまとまらなかったことから、ティッセンクルップの完全傘下に入れて売却しやすくする狙いだ。同社はヴァーレ保有株を「象徴的な」低価格で取得。CSAの売却額が簿価を上回った場合はヴァーレへの支払額を上乗せする。

ティッセンクルップは2006年、ブラジルに粗鋼工場(CSA)、米国に圧延工場をそれぞれ建設することを決定した。ブラジルで生産した粗鋼を米工場で自動車用の高級鋼材などに加工。NAFTA(北米自由貿易協定)圏で拡大する需要を取り込む意向だった。

だが、ブラジルの通貨高と鉄鉱石価格の高騰を受けてブラジル工場は採算が悪化し、米国工場も事業が低迷。両工場の建設コストが大幅に膨らんだこともあり、売却手続きを開始し、米工場についてはアルセロール・ミタルと新日鉄住金に売却した。

ティッセンクルップはブラジル工場の売却交渉もヴァーレと共同で進めたが、両社の利害を調整できず破談となった。

同工場の建設に投じた額が計120億ユーロに上るに対し、現在の簿価は約22億ユーロにとどまる。

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