タタ製鉄―ティッセンクルップと合弁か―

インドのタタ製鉄が独ティッセンクルップの欧州鉄鋼事業に資本参加する方向で交渉しているとの観測が浮上している。独地方紙『ライニッシェ・ポスト』が政府筋の情報として1日、報じたもので、交渉は進展した段階にあるという。両社は報道内容へのコメントを控えているものの、ティッセンクルップの広報担当者は、業界再編は意義のあることだとの立場を表明した。

欧州の鉄鋼市場には安価な中国製品が流入しており、昨年は業界最大手のアルセロール・ミタルや欧州2位のタタが軒並み赤字を計上。相次いで数千人規模の人員削減を実施した。タタは先月末、英国事業の全面・部分売却を検討していることを明らかにしたばかりだ。

ただ、タタのオランダ工場は利益を計上している。独西部のデゥースブルクに工場を持つティッセンクルップとは地域・製品面で相乗効果が期待できると目されており、市場は両社の提携観測を好感。ティッセンクルップ株は急進した。欧州鉄鋼事業はティッセンクルップの業績の足かせとなっていることから、同社は将来的に同事業から完全撤退するとの見方もある。

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