流通大手の独メトロ・グループ(デュッセルドルフ)は3月30日、同社を独立した上場企業2社に分割する計画を発表した。現在のグループ編成で事業を継続してもシナジー効果が小さいため、分離により経営効率の向上を目指す。速やかで柔軟な意思決定や株式交換方式による買収を行いやすい体制を構築する考えだ。
メトロ・グループは現在、会員制卸売事業(キャッシュ・アンド・キャリー)を手がけるメトロ、郊外型大型食品小売チェーンのレアル、家電量販大手メディア・ザトゥーンの3部門で構成されている。このうち家電量販部門は他の2部門との関連が小さいため、経営陣はキャッシュ・アンド・キャリーとレアルからなる新会社と、家電量販の新会社にグループを分離する考え。今後は詳細を詰めて株主総会などで正式決定し、来年半ばまでに分離手続きを終了する計画だ。メトロ・グループの株主は新会社2社の株主となる。
メディア・ザトゥーンには現在、メトロ・グループが78%出資し、残り22%はメディア・ザトゥーン傘下の量販チェーンであるメディアマルクトの創業者(エーリヒ・ケラーハルス氏)が保有している。メトロ・グループとケラーハルス氏はメディア・ザトゥーンの経営方針をめぐり激しく争ってきた経緯があり、今回の分離計画はこの対立の緩和につながると期待されている。