技術監査大手の独テュフジュード(ミュンヘン)は13日の決算発表で、デジタル事業を展開するユニットを新設すると発表した。モノのインターネット(IoT)やサイバー攻撃の深刻化を背景に同分野のニーズが高まると判断したためで、シンガポールにはこのほど、デジタルサービス中核センターを立ち上げた。
サイバー攻撃の実態を調べるためにハードウエアとソフトウエアを利用して架空の水道施設を運営するプロジェクトを同社が実施したところ、8カ月間に6万件以上の不正アクセスがあった。特に中国、米国、韓国からが多く、数十件のアクセスは水道施設のセキュリティとシステム制御を熟知したハッカーによりものだった。同社は今後、サイバー攻撃の調査をさらにすすめるとともに、有効なセキュリティ対策を考案していく考えだ。今後3年間で同分野に千万ユーロのケタ台の投資を行う。
2015年12月期の売上高は前期比8%増の22億2,200万ユーロに拡大した。中国やインドなど新興諸国の経済発展を背景に技術監査需要が伸びていることが大きい。営業利益(EBIT、調整済み)は2%増の1億8,990万ユーロ、純利益は9%増の1億1,400万ユーロだった。