スポーツ用品大手の独アディダスは14日、「持続可能性戦略」を発表し、海洋のプラスチックごみを原料とするコレクションを年内に市場投入することを明らかにした。スポーツ用品や衣料品メーカーに対しては環境やサプライヤーの労働環境など「企業の社会的責任(CSR)」をめぐる批判が近年、強まっており、同社はこれを踏まえ環境保護や労働条件の改善に向けて積極的に取り組んでいる。
アディダスはその一環で昨秋、化学大手のBASFなどと共同で何度でも再利用できる新素材開発のイニシアチブ「スポーツ・インフィニティ」を立ち上げた。同社の社会・環境対策担当者であるフランク・ヘンケ氏は経済紙『ハンデルスブラット』に「目標は循環の輪を閉じることだ」と述べるとともに、リサイクル素材だからといって品質が落ちることは許されないとの立場を表明。何度でも再利用可能な新素材で高い品質を保つ考えを示した。
同社はまた、古着回収などのインフラが整っていない新興諸国を中心に使用済みスポーツ用品の回収事業を立ち上げる計画も明らかにした。
調達分野では◇主要サプライヤーに対し生産時の水消費量を2020年までに20%削減する◇素材のサプライヤーでは同削減幅を50%とする――を義務づけることも明らかにした。背景には同社製品を製造する国の多くは水不足に苦しんでいることがある。
衣料品やスポーツ用品を製造するアジアの工場では労働者が劣悪な環境、条件で働かされていることが近年、大きな問題となり、発注元の欧米の大手メーカーは批判を浴びている。アディダスはこれを受けて、そうした労働者が同社に携帯電話のSMSで告発できる体制を構築した。同社のサプライヤーで働く全労働者の4分の1に当たる25万人が現在、この制度を利用できるという。