「独バイオ業界はポテンシャルを生かせず」=EY

ドイツのバイオテクノロジー業界は大きなポテンシャルを持っているにもかかわらず資金調達面でそれを生かし切れていない――。監査法人大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)はバイオ業界団体ビオ・ドイチュラントなどと共同作成した2016年版『ドイツ・バイオテクノロジー・レポート』でそんな見方を示した。

それによると、同国のバイオ企業が昨年、ベンチャーキャピタルから調達した資金は計2億3,600万ユーロで、前年の1億5,800万ユーロから約50%増加したものの、そのうちの71%(1億6,700万ユーロ)は米富豪ビル・ゲイツ氏が会長を務める慈善団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」や投資会社からの資金獲得に成功したワクチン開発のキュアヴァク1社によるものだった。これを除くと独業界のベンチャー資本調達額は前年を56%下回った。

同レポートの執筆者であるEY独ライフサイエンス・センターのジークフリート・ビアロヤン所長は、ドイツには設備の整った研究機関が大学内外に数多くあるうえ、特許件数や革新的な技術のアイデアも多いと述べたうえで、「真の技術革新には通常、長期のリスクが付きまとう」と指摘。同国ではそうしたリスクの受容度が低いとの見方を示した。

バイオ企業が資金を調達しやすい環境を整えるためには、公的な支援制度を通してスタートアップ企業の数を増やしたり、ベンチャー投資の優遇措置を拡大するなどしてバイオ産業立地としての魅力を高め、国外投資家がドイツに事務所を構えるように仕向けるべきだとしている。

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