従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な物品や情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、雇用主は電話とインターネット接続の便宜も提供しなければならない。では、事業所委は自らの業務で利用する電話とネットの回線を会社のものとは別にすることを要求できるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が20日に決定(訴訟番号: 7 ABR 50/14)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は従業員数165人の企業を相手取って同社の事業所委員会が起こしたもの。事業所委は雇用主がメールのやり取りを傍受したり電話を盗聴する恐れがあるとして、企業の電話回線から独立した電話接続と、会社のプロキシサーバー(社内からのネットアクセスを代行するサーバー)を経由しないネット接続を提供するよう雇用主に要求したが、拒否されたため提訴した。
原告事業所委は1、2審で敗訴し、最終審のBAGも下級審判断を支持した。決定理由で裁判官は、雇用主が通信を傍受する恐れがあるとする原告の主張には具体的な根拠がないと言い渡した。