ドイツが決めた原発廃止の財源確保を検討する政府諮問委員会(KFK)は4月27日、最終答申を提出した。同答申は全コストを基本的に原発事業者に負担させる汚染者負担原則(PPP)をベースとしているものの、各社の財務が悪化し同コストをねん出できなくなることを避けるために原発事業者の負担額を明確化。それを超える分については国が引き受けるという内容だ。諮問委は納税者と原発事業者の利害を踏まえた「公正な妥協だ」との立場を示した。政府は今後、同答申を踏まえ法案を作成する。
KFKは原発の稼働停止、解体および放射性廃棄物の包装を原発事業者が自ら行い、その後の中間・最終保管を国の責任で行うことを提言した。
ドイツで原発を運営するエーオン、RWE、EnBW、バッテンフォールの4社は2014年末時点で原発廃止の引当金を計383億ユーロ計上した。KFKは今回、そのうち約172億ユーロを中間・最終処分のために設置する国の廃棄物処理基金に支払い、残りを原発の稼働停止、解体、放射性廃棄物の包装に充てることを提言。また、原発4社には同基金に61億ユーロ強を追加拠出させるとの考えを示した。4社が同基金に支払う金額は合わせて約233億ユーロとなる。22年までの払い込みを義務づけられる。
国は4社から同基金に払い込まれた資金をもとに中間・最終保管を行っていく。資金が足りない場合は公的資金で賄うため、納税者負担が発生することになる。
今回の答申で61億ユーロ強の追加拠出を求められた原発4社は、財務能力を上回る負担だと批判。政府に修正を働きかける考えを示した。ただ、同答申は19人の委員の全会一致で採択されていることから、覆すのは難しいとみられている。