独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が4月28日発表した2016年1-3月期(第1四半期)決算の純損益は2億3,600万ユーロの黒字となり、3四半期ぶりに赤字から脱却した。これまで利益を強く押し下げてきた法務リスクの引当金が大幅に減少したことが大きい。アナリストの事前予測に反して黒字を計上しており、同行にとっては久しぶりの明るい話題となった。
ドイツ銀は過去に行った数々の不正を受けて巨額の法務リスク引当金を計上。15年は各四半期とも10億ユーロを超えた(第1四半期:15億4,400万ユーロ、第2四半期:12億2,700万ユーロ、第3四半期:12億900万ユーロ、第4四半期:12億3,800万ユーロ)。16年第1四半期はこれが1億8,700万ユーロにとどまった。
売上高に相当する経常収益は80億6,800万ユーロで、前年同期を22%下回った。中国株が年初に急落するなど金融市場が悪化したほか、事業再編に伴い一部事業から撤退したことが反映された格好で、売却予定のポストバンクを除くすべての部門で減少した。
3月末時点の狭義の中核自己資本比率(CET1比率)は10.7%で、12月末の11.1%から0.4ポイント低下した。総資産に対する自己資本の比率であるレバレッジ比率も3.5%から3.4%に落ち込んでいる。