希望退職の募集、「早い者勝ち」ルールは不当か

希望退職者を募集する場合、企業は定員を設定する。では定員をオーバーする応募があった場合、定数に達した時点で締め切ることは法的に認められるのだろうか。この問題をめぐる係争でデュッセルドルフ州労働裁判所が4月に判決(訴訟番号:14 Sa 1344/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は希望退職者を募集した企業のIT部門に勤務するチームリーダーが同社を相手取って起こしたもの。同社(従業員数9,100人)は1,600人の人員削減を行うために希望退職者を募集した。IT部門では募集定員が7人となっていた。

応募者は特設した調整部署に電子メールを送信して申請を行うことになっていた。

原告チームリーダーの申請は2015年3月23日13時7分53.560秒に調整部署に着信した。だが、同13時1分9.603秒の時点でIT部門7人目の応募が着信していたため、原告の希望は退けられた。

原告はこれを不服として提訴。希望退職の受理と退職金29万8,777ユーロの支払いを被告企業に要求した。

1審のデュッセルドルフ労働裁判所は原告の訴えを棄却。2審のデュッセルドルフ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で同州労裁の裁判官は、同希望退職ルールは雇用主が従業員代表の事業所委員会(Betriebsrat)の同意を得て作成したものだと指摘。事業所委の同意がある以上、法的に問題はないとの見方を示した。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告を認めており、判決は確定していない。

上部へスクロール