シーメンス―風力発電機事業をガメサと合併へ―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は17日、同社の風力発電機事業を再生可能エネルギー発電設備製造の西ガメサと合併することで合意したと発表した。新会社はデンマークのヴェスタスを抜いて風力発電機の世界最大手メーカーとなる見通しだ。ガメサ株主や独禁当局の承認を経て、合併手続きが来年第1四半期(1~3月)に終了すると見込んでいる。

新会社をスペインに設立し、株式をマドリード市場に上場させる。市場では時価総額が約100億ユーロに達すると予想されている。

出資比率はシーメンスが59%、ガメサの株主が計41%。今回の取引の一環でシーメンスはガメサの株主にガメサ株1株につき現金3.75ユーロを支払う。これは合併観測が浮上した日の前日(1月28日)の終値を26%上回る水準という。

新会社は売上高が93億ユーロ(2015年4月~13年3月の数値を基にした試算ベース)、営業利益(EBIT、調整済み)が8億3,900万ユーロ(同)となる見通し。受注残高は約200億ユーロを超える。

シーメンスは洋上風力発電機、ガメサは陸上風力発電機に強い。またシーメンスが欧州、北米を主力市場とするのに対し、ガメサはラテンアメリカやインドなどの新興国と南欧市場に大きな基盤を持つ。このため両社は補完性が高く、新会社で年2億3,000万ユーロのシナジー効果(EBITベース)を見込む。洋上風力発電機事業の統括拠点はドイツ北部のハンブルクとデンマーク置き、陸上風力発電機事業は同スペインに設置する。

両社が合併協議を行っていることは1月に明らかになったが、合意に至る道のりは平たんでなかった。ガメサと共同で洋上風力発電機の合弁会社アドウェン(Adwen)を運営する仏原発大手アレバとの交渉が難航したためだ。

アレバは今回、アドウェンに関してオプション権を取得した。保有するアドウェンの資本50%を売却するか、ガメサが持つアドウェンの資本50%を買い取るかの権利を3カ月以内に行使できる。またアレバはこの権利を行使しない場合、アドウェン資本の3分の1を第3者に売却するとともに、売却強制権(ドラッグ・アロング・ライト)を行使してガメサに対してもアドウェン資本の3分の1を同一の第3者に売却するよう命じることができる。メディア報道によると、シーメンスの競合である米ゼネラル・エレクトリック(GE)がアドウェン資本の取得に関心を示している。