「ブリレン・デーエー(Brillen.de)」ブランドで眼鏡の製造・販売を手がける独スタートアップ企業スーパーヴィスタ(ヴィルダウ)に、大手ベンチャーキャピタルの米テクノロジー・クロスオーバー・ベンチャーズ(TCV)が4,500万ドルを出資する。TCVはフェイスブックやリンクトインなど名だたるIT大手に出資する企業。ドイツ企業には今回、初めて資本参加する。
スーパーヴィスタは独南部のバイロイトで眼鏡店を経営していたカンプペーター夫妻が2012年に立ち上げた。バイロイトでは店舗を建物の1階に構え、2階で眼科医を営む父親とシナジー効果を引き出していた。父親の診察を受けた顧客がレシピを持って店舗を訪問。眼鏡を購入するというものだ。
だが、健康保険が眼鏡購入補助金を廃止したことで、フィールマンなどの大手眼鏡チェーンに顧客が流出。また、眼鏡販売のネットショップが登場したことで、事業環境は一段と悪化した。
同夫婦はこれを受け、起業が盛んなベルリンの近郊ヴィルダウに引っ越してスーパーヴィスタを設立した。
同社はドイツを中心に欧州数カ国の眼鏡販売店と提携。同社製品を購入した顧客に提携先の店舗で相談や視力テストを受けさせたうえで、上海にある自社工場で注文の品を生産する。完成した眼鏡は航空便でドイツに送付され、さらに顧客が視力テストを受けた眼鏡店に届けられる。眼鏡店は注文品の微調整を行ったうえで顧客に引き渡す。
実店舗型の眼鏡店と提携するのは、眼鏡は利用者に正確にフィットしなければならないためだ。同社が提携先眼鏡店の協力を受けずにインターネットで直接、顧客に販売すると、大量の返品が発生するという。
スーパーヴィスタは開発、生産、販売を自ら行う垂直統合型の事業モデルを採用しているため、競合よりも低価格で販売できる。
同社はTCVから得た資金を用いて欧州の進出先国を増やしていく。将来的には米国市場に進出する考えだ。コンタクトレンズ事業への参入も計画している。
売上高は現在3,000万ユーロ。来年は1億ユーロ以上に拡大する見通しという。