独太陽電池大手のソーラーワールド(ボン)は7月29日の決算発表で、2016年12月期の営業損益(EBITベース)予測を下方修正した。国際市場価格が年央に下落したことを受けたもので、「千万ユーロのケタ台前半の黒字」になるとしていた従来予測を「1,000万ユーロの赤字~1,000万ユーロの黒字」へと引き下げた。同社は原料であるシリコンの供給契約をめぐる米ヘムロック(Hemlock)との係争で26日に1審で敗訴し、7億9,300万ドルの巨額支払いを命じられており、最終判決の結果次第では2013年に続く2度目の経営危機に追い込まれる恐れがある。
ソーラーワールドは05年、ヘムロックからシリコンを一定価格で買い取る長期契約を締結した。当時はシリコンが不足し価格が高騰していたことから、安定供給を確保するために必要な措置とみられていた。だがその後、中国勢の攻勢で太陽電池価格が下落したことで状況は一転。ソーラーワールドはヘムロックとの契約を履行できなくなり、同社からの調達を打ち切った。
ヘムロックはこれを不当として米国で提訴。1審で勝訴した。
これに対しソーラーワールドは、ヘムロックとの契約は欧州カルテル法に違反しており、履行の義務はないとして、控訴する方針だ。ただ、同社は経営再建の途上にあり、最終審で仮に敗訴すると債務超過に陥る恐れがある。
16年1-6月期(上半期)決算の売上高は4億3,400万ユーロで、前年同期を36%上回った。販売量が50%増の682メガワットに拡大したことが大きい。EBITの赤字幅は前年同期の1,220万ユーロから310万ユーロへと縮小。4-6月期(第2四半期)に限るとEBITは660万ユーロの黒字だった。