自動車大手のオペルが改良した2リットル・ディーゼルエンジンを独連邦陸運局(KBA)が1日付で承認することが分かった。日曜版『ビルト』紙が報じ、連邦交通省が7月31日に追認したもので、9月発売のミニバン「ザフィーラ」改良モデルなどに搭載される。ザフィーラの現行モデルに対しては環境保護団体などから排ガス不正の批判が出ており、これに対応した格好だ。
ザフィーラの現行モデルでは排ガス浄化システムが試験環境下では適切に作動するものの、それ以外の状況下では作動せず、許容値を大幅に上回る窒素酸化物(NOX)が排出される問題が昨年、環境保護団体ドイチェ・ウンヴェルトヒルフェ(DUH)と公共放送ARDの調査で発覚した。オペルはこれに対し、競合フォルクスワーゲン(VW)のような不正ソフトは投入していないとして違法性を否認しているものの、外気温が高かったり走行速度が速いと浄化システムが作動しないことはブランドイメージ上、好ましくないため、エンジンを改良したもようだ。
具体的には(1)浄化システムが作動する外気温の幅をこれまでの17~33度からマイナス8~プラス50度に拡大する(2)これまでは走行速度が時速145キロを超えると尿素SCRシステムが作動停止するようソフトで設定していたが、そうした設定を廃止する(3)浄化システムが停止する標高をこれまでの850メートルから引き上げ、1600メートルまでは全面的に作動し、2,600メートルまでも限定的に作動するようにする――という改良を加えた。
オペルは新エンジンを中型車「インシグニア」とカブリオレ「カスケーダ」にも搭載する。また、すでに販売したザフィーラ9万台についても新ソフトを無料でインストールし排ガス性能を引き上げる。