フリックスブス―ドイツポストの長距離バス子会社を買収―

長距離バス独最大手のフリックスブス(ミュンヘン)は3日、競合ポストブスをドイツポストから買収すると発表した。顧客基盤をあらゆる年齢・消費者層に拡大するとともに、両社の路線を統廃合し運行網を強化する考えだ。11月1日付でポストブスの路線を統合する。

ポストブスは長距離路線バス市場が自由化された2013年、ドイツポストと全ドイツ自動車クラブ(ADAC)の合弁会社「ADACポストブス」として立ち上げられた。14年11月にADACが撤退したため、その後はドイツポストが単独で運営。昨年4月にブランド名を「ポストブス」に改めた。車内に無線LANを設置するなど高価格帯路線を展開してきたが、消費者の多くは価格を重視しており、赤字が続いている。主要顧客層はオフラインでチケットを購入する高齢者や家族連れ。

フリックスブスは13年設立のスタートアップ企業だが、市場が若いこともあり瞬く間に最大手となった。昨年には競合マインフェルンブスと合併。今年7月にもスコットランド同業メガバスから大陸欧州事業を取得した。欧州20カ国の計900都市間でバスを運行している。インターネットやスマートフォンで予約する若い消費者を主な顧客層としていることから、ポストブスとは補完性が高い。

ポストブス買収後は両社の路線を統廃合するとともに、これまで手の届かなかった小都市も運行網に組み込んでいく。また、ポストブスのバスを利用してドイツポストがハンブルク~ベルリン間で行っている小包輸送のパイロットプロジェクトにフリックスブスが参加することも検討する。

ポストブスの買収によりフリックスブスの市場シェアは現在(今年2月)の71%から80%へと上昇するものの、フリックスブスの事業規模は独禁審査の対象となる水準に達していないことから、連邦カルテル庁は買収可否の審査を行わない。

今回の買収合意を受け、シェア10%で2位に付けるドイツ鉄道(DB)は4日、長距離バス事業を見直すことを明らかにした。DBが同市場から撤退するとフリックスブスの独占は一段と進むことになる。

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