家畜への抗生物質投与量が半減、規制強化で安易な利用に歯止め

家畜に投与される抗生物質の量がドイツで大幅に減少している。連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)の発表によると、製薬会社ないし医薬品卸から獣医に引き渡された抗生物質の量は昨年837トンとなり、前年比で32%減少。統計を開始した2011年(1,706トン)に比べると51%も少なくなった。抗生物質の投与削減を狙った薬事法の改正が奏功した格好だ。

鶏や豚を大量に飼育する鶏舎/畜舎で感染症や伝染病が発生すると、群れ全体が感染する恐れがあるため、抗生物質を混ぜた餌が与えられている。この結果、薬剤が効かない耐性菌が発生しやすく、環境・自然保護連盟(Bund)が実施した検査では、スーパーで販売される鶏肉の半数以上から耐性菌が検出された。免疫力が低下した病人などが耐性菌に感染すると治療が困難なため、政府は事態を深刻視。薬事法改正案を作成し、議会で可決させた。

同法には抗生物質の投与抑制に向け◇必要な場合以外は投与を認めず、違反者には刑罰を科す◇詳細な投与記録の作成を農家に義務づけ4半期ごとに役所への提出を義務づける◇当局間の情報交換体制を改善する◇全国レベルのデータバンクを開設する◇投与量の多い農家には改善計画の作成を義務づける◇人間医学にとって重要な抗生物質については家畜・家禽への投与を制限する――などの規定が定められており、農家と獣医は抗生物質を安易に投与しにくくなった。

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