雇用主は理由を提示せずに合計で最大2年間、被用者を有期雇用できる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に記されたルールである。ただし同項第2文には、この有期契約に先立って両者の間に有期ないし無期の雇用関係があった場合、同2年ルールは適用されないと明記されている。つまり2年の上限を超えると、正当な理由がない限り契約期限のない正社員として採用しなければならなくなるのである。
では有期契約に先立って被用者が雇用主の委託を受けて内職を行っていた場合も同2年ルールは適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が24日の判決(訴訟番号:7 AZR 342/14)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。
裁判は被告企業と有期雇用契約を結んだ女性が同社を相手取って起こしたもの。同女性は2010年9月1日から有期契約社員として被告企業での勤務を開始した。契約期間は1年。雇用期間はその後の契約更新で12年8月末まで延長されたものの、同9月以降の再延長はなかった。有期契約が2年を超えると契約期限のない正社員として採用しなければならなくなるため、被告は更なる契約延長を見合わせたのである。
原告は有期雇用関係に入る前の09年6月15日~10年8月末の1年2カ月半、被告の委託で内職を行っていた。内職を含めると被告との契約関係は2年を大幅に超えることから、原告は正社員として採用される権利がすでに発生しているとして、その確認を求める裁判を起こした。
1審と2審は原告の訴えを棄却し、最高裁のBAGも同様の判断を示した。判決理由でBAGの裁判官は、内職法(HAG)2条1項に基づく内職関係はTzBfG14条2項に定める雇用関係と異なると指摘。有期雇用契約に先立つ原告と被告の内職契約の期間は、2年の有期雇用上限期間に算入されないとの判断を示した。