バイエル―モンサント買収の提示額を条件付きで引き上げ―

製薬・化学大手の独バイエル(レバークーゼン)は6日、米農業化学大手モンサントが同社による株式公開買い付け(TOB)を支持すれば1株当たりの買収提示額を従来の125ドルから127.50ドルに引き上げる考えを明らかにした。モンサントの経営陣はこれまでのところTOB提案の受け入れを拒否していることから、バイエルは提示額引き上げの可能性をちらつかせることで揺さぶりをかける考えだ。

バイエルはモンサントを1株当たり122ドルで買収する考えを5月に表明したが、拒否されたため7月になって同125ドルへと引き上げた。それでもモンサントは首を縦に振らなかったため、バイエルは今回、モンサント経営陣がTOBを支持すればさらに引き上げる考えを表明した。

バイエルはこの間、モンサントと協議を進めている。同社によると、交渉は進展した段階にあるものの、買収の詳細な条件を取り決める段階には至っていない。

モンサントはバイエルによる買収を原則的に拒否しないとする一方で、同業シンジェンタ(スイス)および独BASFの農業化学部門に熱い視線を送ってきた。だが、BASFは農業化学部門を手放す考えがないことを7月下旬に表明。シンジェンタについても中国の大手化学メーカー中国化工集団(ケムチャイナ)が買収する計画を、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が8月に承認したことから、モンサントとシンジェンタのM&Aの可能性はほぼなくなった。

農業化学業界では再編の動きが活発化している。市場環境の悪化を受けて事業規模拡大の必要性が高まっているためだ。世界的なトッププレイヤーのなかで再編の動きから取り残されているのはBASFを除くとモンサントとバイエルの2社に限られており、バイエルによるモンサント買収は市場動向を踏まえた妥当な取り組みだ。

両社の駆け引きでは、買収価格を可能な限り引き上げたいモンサントと、可能な限り抑制したいバイエルがどこで妥協点を見出すかが焦点となっている。

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