インフィニオン―自動運転技術強化に向け買収―

半導体大手の独インフィニオン(ミュンヘン)は11日、ライダー技術開発の蘭イノルース(Innoluce)を買収したと発表した。自動運転技術事業を強化することが狙いで、インフィニオンは今回の買収により自動運転でカギを握るライダー、レーダー、カメラシステムの3分野すべてで事業を展開することになる。買収金額は公表しないことで合意した。

ライダーはリモートセンシング技術の一種。電波を用いるレーダーと異なり波長の短いレーザー光を用いるのが特徴で、レーダーでは検出が困難な非金属や、雨滴のような小さな対象物を検出できる。

イノルースは電機大手フィリップスからのスピンオフとして2010年に設立された企業。従業員数は8人で、製造事業は行っていない。インフィニオンはイノルースのノウハウを活用してライダーシステム向けのチップソリューションを開発し、2020年に市場投入する考えだ。

同社によると、ライダーシステムは今後数年で高級車への搭載が始まる見通し。従来のライダーシステムでは回転鏡が必要なため、システムが場所を取り価格も膨らむという難点があった。インフィニオンは回転鏡の代わりに半導体を用いることで小型化と低価格化を実現し、量産車にも搭載できるようにしていく。

自動車部品大手の独ZFフリードリヒスハーフェンも8月、ライダー技術開発の有力企業である独イベオ・オートモティブ・システムズに40%出資すると発表した。インフィニオンと同様に自動運転技術を強化する考えだ。

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