オスラム―中国の三安光電が買収に意欲―

中国の半導体大手・三安光電は10日、独照明大手オスラム(ミュンヘン)の買収ないし提携に向けて協議を始めたことを明らかにした。オスラムをめぐっては複数の中国企業の買収標的になっているとの観測が9月末に出ていた。三安光電によると、買収価格などの詳細は協議の議題となっておらず、拘束力のある取り決めも行っていないという。オスラムは三安光電の発表内容に対しコメントを控えている。

三安光電はドイツの半導体製造装置メーカーであるアイクストロンが経営危機に陥るきっかけを作った企業として知られている。

アイクストロンは2014年9月、MOCVD法(化学気層法)という製法を採用したLED製造装置「AIX R6」50台を、三安光電から受注した。受注額は明らかにしなかったものの、同社史上最大と強調していた。8,000万~1億ユーロと推定されている。

三安光電は翌年になって47台をキャンセル。12年から赤字が続いていたアイクストロンは業績が一段と悪化したうえ、株価も急落し、中国の投資会社・福建芯片投資基金(FGC)に身売りすることになった。FGCは現在、独子会社グランド・チップ・インベストメントを通してアイクストロンに対する株式公開買い付け(TOB)を実施している。

三安光電はFGCと取引があることから、アイクストロンの経営を悪化させることでFGCが同社を買収しやすい状況を意図的に作り出したとの見方も出ている。

独経済省は中国企業によるオスラム買収について、実業界の事柄だとしてコメントを控えつつも、同国企業が政府に強く保護されていることを指摘。ドイツ企業は不利な条件での競争を強いられているとして、この問題を解決するためには欧州連合(EU)レベルで取り組む必要があるとの見解を示した。

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