クアルコム―蘭NXP買収、車両向け世界1位に―

半導体大手の米クアルコムは10月27日、オランダ同業NXPセミコンダクターズを約470億ドルで買収することで合意したと発表した。主力の携帯通信端末向け半導体事業がスマートフォンの販売鈍化で先細りが避けられないなか、車載半導体で世界最大手のNXPを取り込むことで、収益基盤を強化する。

クアルコムはNXPの株式を約380億ドルで取得する。1株当たりの買い取り価格は、前日終値に11.5%を上乗せした110ドル。負債引き受けを含めた買収額は470億ドルに上る。2017年末までの買収手続き完了を見込む。

NXPはフィリップスの元半導体部門。06年に独立し、10年に米国で上場した。昨年に米フリースケールを買収し、車載半導体分野で世界最大手に浮上した。スマートフォンの機能を活用した電子決済サービスなどに使われる近距離無線通信技術用のICチップなどでも強みを持つ。15年の売上高は61億ドルだった。

クアルコムは携帯端末用半導体の世界最大手。売上高の9割を同部門が占める。スマホ向け半導体の需要が頭打ちとなり、競争も激化していることから、同事業に過度に依存する体質を改善するため、NXP買収を決めた。

両社を合わせた売上高は300億ドルを超える。クアルコムは今回の買収によって、急成長が見込める車載半導体のトップ企業となる。将来的にはモノのインターネット(IoT)関連の半導体開発でも主導権を握ることを目指す。

この買収は関連国・地域の競争当局の承認が必要となるが、クアルコムとNXPは事業重複が少ないことから、問題はないと目されている。

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