メルク―バイオシミラー事業を売却か―

製薬大手の独メルクがバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)事業の売却に向けて動き出したとの観測が浮上している。ロイター通信が消息筋の情報として10月28日に報じたもので、米投資銀行JPモルガン・チェースに売却先候補の模索を委託したという。メルクは報道内容へのコメントを控えている。

メルクのバイオシミラー事業は開発パイプラインが充実しており、時価は最大10億ドルに達する見通し。ブロックバスター(年商10億ドル/ユーロ以上の医薬品)に該当するバイオ医薬品の相次ぐ特許切れを受けて市場も拡大基調にある。それにもかかわらずメルクが同事業から撤退するのは、ファイザー、ノバルティスといった製薬業界最大手レベルの企業との激しい競争に巻き込まれるリスクを避けるためという。

メルクは2012年、インドの後発医薬品大手ドクター・レディーズ・ラボラトリーズと提携し、バイオシミラー市場へと参入。14年にはブラジル企業3社と共同でバイオシミラーを現地生産することも取り決めた。バイオシミラー分野では経営資源を免疫疾患とがんの2分野に絞り込む方針を打ち出していた。

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