電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は14日、デザインオートメーション・産業ソフト大手の米メンター・グラフィックスを買収することで合意したと発表した。産業ソフト事業を強化する狙い。来年第2四半期の買収手続き完了を見込む。
メンターを株式公開買い付け(TOB)で買収する。買い取り価格は1株当たり現金37.25ドル。これは前営業日に当たる11日の終値を21%上回る水準で、同社を45億ドルと評価したことになる。同株8.1%を保有する米投資会社エリオットはTOBに応じることをすでに確約している。
メンターは電子系設計ソフトの有力企業。世界32カ国で事業を展開しており、2016年1月通期の売上高は12億ドル、売上高営業利益率は20.2%に上った。シーメンスは同社をデジタルファクトリー部門の製品ライフサイクル管理(PLM)ソフト事業部へと統合する。買収後4年目から営業利益(EBIT)で1億ユーロのシナジー効果を見込む。
シーメンスはつながる工場「インダストリー4.0」の進展をにらんでデジタル事業を強化しており、年初には製品の開発、設計、生産から出荷後のサポートなどを手がけるPLMソフトの米CD-アダプコを買収することで合意。10日にはインフラ設計・建設・運用ソフトの米ベントレー・システムズと戦略提携した。