ドイツ取引所が新興企業向け新市場を開設へ

フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所は21日、新興企業を対象とする新しい市場を来年3月に開設すると発表した。デジタル化の進展を背景に斬新な事業アイデアを持つ小規模企業の資金需要が高まっていることに対応する考え。これに伴い採用基準が最も緩い「エントリー・スタンダード」部門を廃止する。

ドイツ取引所は昨年6月、新興企業と投資家を仲介するプログラム「ドイチェ・ベルゼ・ベンチャー・ネットワーク」を立ち上げた。同プログラムは登録された企業と投資家だけが利用できるオンライン・プラットフォームと、企業のトレーニングとネットワーク形成に向けた催しの2つからなり、企業と投資家は情報交換を実施。投資家は将来性を見込んだ企業に資金を提供する仕組みだ。すでに約120の新興企業と200以上の投資家が参加し、計26件の資金契約が成立した。

同社はこれを踏まえ、新たな市場部門の開設を決定した。採用対象となる企業のデータを公開することで、より多くの投資家から資金を調達できるようにする狙いだ。

採用されるためには(1)売上高が1,000万ユーロ以上(2)純利益を計上している(3)自己資本がマイナスに陥っていない(4)過去に少なくとも一度、投資家から500万ユーロ以上の資金を調達した実績がある(5)従業員数が20人以上――の5基準のうち3つ以上を満たしていなければならない。

採用に当たってはドイツ取引所の委託を受けたアナリスト企業が投資家向けのレポートを作成する。同コストはドイツ取引所が引き受ける。レポートは採用後も定期的に作成される。

来年3月のスタート時に約40社が採用される見通し。ドイツ取引所は将来的に同市場を対象とする指数を導入する考えだ。同市場の名称は未定で、公募で決めることになっている。

ドイツ取引所は1997年、ニューエコノミーブームに乗ってIT、バイオ分野などの新興企業を対象とする株式市場「ノイア・マルクト」を開設したが、ハイテクバブルの崩壊もあり2003年6月に廃止に追い込まれた苦い経験を持つ。

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