楽天の電子書籍・電子ブックリーダー販売子会社楽天コボ(カナダ・トロント)がドイツの電子書籍販売プラットフォーム「トリノ(Tolino)」に資本参加する。これまでトリノの技術プラットフォームを担当してきたドイツテレコムから保有する資本を譲り受けて今月末に役割を引き継ぐ予定だ。ドイツテレコムが2日、明らかにした。取引は独連邦カルテル庁の承認を経て成立する。
トリノは電子書籍市場で圧倒的なシェアを持つ米アマゾンに対抗するために、独大手書店のタリアやフーゲンドゥーベルがドイツテレコムと共同で2013年3月に立ち上げたプラットフォームで、「トリノ」ブランドの電子ブックリーダー(端末)を販売している。ドイツテレコムはシステムと端末を開発してきた。
ダウンロードにはパソコンや全国に1万2,000カ所あるドイツテレコムのホットスポット、参加書店の店舗(1,500カ所)を利用。購入した電子書籍はドイツテレコムのクラウドに無料で保存できる。端末が壊れてもアクセス可能だ。
トリノの独市場シェア(電子書籍ダウンロード件数ベース)は40%でアマゾンの端末「キンドル」とトップを分け合っている。ドイツのほか、スイス、オーストリア、オランダ、ベルギー、イタリアでも販売している。
楽天コボは世界的に事業を展開しており、電子書籍・雑誌の取り扱い点数は500万を超える。ドイツではこれまで、家電販売店でしか端末を販売してこなかった。トリノに参加することで今後は独市場シェアと販売網を大幅に拡大する。
電子書籍販売プラットフォーム市場ではダントツの世界最大手であるアマゾンに対抗するために、再編の機運が高まっている。トリノはドイツ語圏以外では事業が難しいことから、テレコムは世界市場で活動する楽天コボにトリノの技術プラットフォーム担当役を譲り渡すことにした。
トリノの事業地域は今後、ドイツ語圏に絞り込む予定。ドイツではトリノとコボの両ブランドが並行展開することになる。