J&J―バイオ大手アクテリオン買収で合意―

製薬大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は1月26日、スイスのバイオ医薬品大手アクテリオン・ファーマシューティカルズを友好的に買収すると発表した。J&Jは昨年、アクテリオン買収に向けて交渉したが、仏サノフィの横やりを受けて12月に交渉中止を発表。その後、水面下で協議を行いアクテリオン経営陣の同意を取り付けた。

アクテリオン株を1株当たり現金280ドルで買い取る。これは前日終値を23%上回る水準で、買収総額は300億ドルに達する。

メディア報道によると、J&Jは当初、アクテリオンを約270億ドルで買収することを提示した。これは同買収観測が浮上する前の株価を約60%上回る極めて高い水準で、市場ではアクテリオンの企業価値を十分に評価したものと受け止められていた。だが、サノフィがJ&Jを上回る額を提示したことから、J&Jは買収交渉を一度、打ち切った。

今回の合意ではアクテリオンの研究開発部門を独立企業として分離し、その株式をスイス証券取引所(SIX)に上場することも取り決めた。新会社にはアクテリオン株主のほか、J&Jが16%を出資。J&Jは将来、新会社の転換社債を株式に転換し出資比率を32%に引き上げるオプション権も獲得した。新会社の社長にはアクテリオンのジーン・ポール・クロゼール最高経営責任者(CEO)が就任する。

製薬業界では特許の失効や研究開発コストの膨張を背景にM&Aが活発化しており、昨年はアイルランドのシャイアーが米バクスアルタを32億ドルで買収することで合意した。

アクテリオンは希少病である肺動脈性肺高血圧症の治療薬を開発・製造している。J&Jは同社の買収により循環器系疾患分野の事業を強化する。

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