インフィニオンの買収計画に暗雲、米当局が安保上の懸念示す

半導体大手の独インフィニオンは8日、有機EL大手の米クリーから子会社ウルフスピードを買収する計画に対し米国政府の対米外国投資委員会(CFIUS)から安全保障上のリスクがあると懸念を通知されたことを明らかにした。買収計画をどう変更すれば同リスクを取り除くことができるかについての提案を受けておらず、買収とん挫の恐れが出てきた。

インフィニオンは昨年7月、ウルフスピードの買収計画を発表した。電気自動車や再生可能エネルギー、次世代移動通信(5G)インフラなどの成長市場で大きな役割を果たすパワー半導体と高周波パワーソリューションの分野で競争力を高めることが狙い。買収金額は8億5,000万ドルに上る。

インフィニオンのラインハルト・プロス社長は先ごろ、ウルフスピードを買収するうえでの障害はもはやなく、1-3月期中にも買収手続きを完了できるとの見通しを示していた。このためCFIUSが買収計画に懸念を示したのはごく最近のこととみられる。保護主義を明確に打ち出すトランプ政権が1月20日に成立したことから、同政権の意向が強く働いている可能性がある。