対イラン貿易保険が再開、昨年は4.3億ユーロに

連邦経済省は9日、ドイツ政府が昨年引き受けた輸出取引信用保険の総額は206億ユーロに達したと発表した。これまで停止されていた対イラン輸出も再び対象となった。

政府はリスクの大きい輸出や国外プロジェクトを行う自国企業に対し、民間企業ユーラーヘルメスを通して貿易保険(ヘルメス貿易保険)を提供している。保険額が昨年、最も大きかった輸出相手国はロシアで38億ユーロに上った。これにエジプト(33億ユーロ)、米国(20億ユーロ)が続く。全体の80%以上をリスクの大きい新興・途上国向けが占めた。

イランは核開発問題で欧米の経済制裁を受けていたため、ドイツ政府はヘルメス保険の適用を凍結してきた。だが、核合意履行を受けて制裁の大部分が昨年1月に解除されたほか、6月には対イラン輸出保険の引き受けでドイツが過去に被った損失5億ユーロ強をイランが補償したため、独政府は同保険の凍結を解除。昨年は計4億3,000万ユーロを引き受けた。

イランに対しては1月に発足した米国のトランプ政権が強硬姿勢を示し、核合意の破棄も辞さない構えをみせている。米国は対イラン制裁を一部解除していないこともあり、ドイツ企業の対イラン取引が今後大きく伸びるかは不透明だ。

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