仏自動車大手PSA(パリ)のカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は2月21日、ドイツのメルケル首相と電話会談し、同社が米ゼネラル・モータース(GM)から独子会社オペルを買収した場合はGMがオペルと取り決めた拠点・雇用・投資保証を引き継ぐ考えを明らかにした。GMはオペルの売却交渉をオペルに伏せて行ってきたことから、その事実が14日に発覚するとドイツの従業員の間に衝撃が走り、政府は介入の動きを示していた。タバレスCEOは買収後にオペルの独立性を保つことも確約した。
GMはオペルの独従業員に対し人員削減を2018年末まで行わないことを確約している。このため、PSAは同社を買収してもそれまでは人員整理を行わないことになる。
ただ、大きなシナジー効果を引き出すためには事業拠点の統廃合や人員削減が不可欠とみられており、19年以降はリストラを行う可能性がある。デュースブルク・エッセン大学自動車研究センター(CAR)のフェルディナント・ドゥーデンフェファー所長は『ヴェルト』紙に対し、オペルで6,000人以上の人員整理が行われるとの見方を示した。
オペル車の欧州外販売を視野に
タバレスCEOは23日の記者会見で、オペルが2010年から赤字となっていることに言及したうえで、「オペルは助けを必要としている」と指摘。「当社が助けることができると確信している」と述べ、買収の意義を強調した。また、GMはオペル車を欧州だけで販売しているが、タバレスCEOは「オペル車の輸出を促進し、西欧以外で販売することが絶対に可能だ」と述べ、販売地域の拡大に意欲を示した。