エコカー販売比率で中国が独に譲歩か

中国政府は自動車販売台数の一定比率以上をエコカーとすることをメーカーに義務づける法案を大幅に緩和するもようだ。独『ハンデルスブラット(HB)』紙が両国の消息筋の情報として2月27日に報じたもので、ドイツ政府の外交活動が奏功したとみられる。同政府のシュテファン・ザイフェルト報道官は詳細を伏せながらも、中国との協議を「確信を持って」進めていることを明らかにした。

中国政府は自動車各社が販売する車両の8%以上を電気自動車(EV)ないしプラグインハイブリッド車(PHV)とするルールを2018年から導入する計画。同比率が8%以上の企業には転売可能なポイントを供与する。一方、エコカー(EVとPHV)の販売台数が相対的に少ない企業は同比率規制を順守するために非エコカーの販売台数を減らすか、8%規制を達成した企業からポイントを買い取ることで非エコカーの販売台数を維持するかの選択を迫られることになる。エコカー比率の最低基準は19年に10%、20年に12%へと引き上げられる。

独自動車最大手VWグループの昨年の中国販売台数(約400万台)をもとに計算すると、同社はエコカーを18年に32万台以上、販売しなければならなくなる。だがVWが昨年、中国で販売したエコカーは数百台に過ぎず、18年も約6万台にとどまる見通しのため、中国での自動車販売台数を大幅に減らすか、ポイントを大量に購入しなければならなくなる。BMW、ダイムラーでも事情は同じで、独自動車業界は強い危機感を持っている。

独政府はこれを踏まえて中国側と協議を進めており、1月にはメルケル首相が李克強首相との電話会談で法案の見直しを要請した。HB紙によると、こうした働きかけが奏功し、中国側は◇エコカー比率の導入時期を1年延期する◇エコカー比率を引き下げる◇移行期間を設ける――方向という。現行法案通りに規制が行われると、多くの中国メーカーも対応できないという事情も背景にあるもようだ。

上部へスクロール