日立製作所―電力取引・運転計画最適化へ、独社と共同実証―

日立製作所は13日、電力市場取引価格に連動した複数市場における取引自由化と発電設備の運転計画に関する最適化を同時に実現する実証事業を、独南部ダルムシュタットの都市公社エンテガ(ENTEGA)と共同で進めていくことで合意したと発表した。日立が開発した最適化ソフトウエアを用いて、価格の変動が大きいドイツの卸電力取引市場で余剰電力を効率的かつプレミアム価格で取引するための計画と、発電所の運転計画とを連動させていく。実証事業は6カ月の予定。

ドイツでは再生可能エネルギーの構成比率が拡大したことに加え、1998年の電力小売全面自由化以降に行われた発送電の法的分離や所有権分離、さらには総合的エネルギー先物取引市場の創設などにより、卸電力取引市場での取引量が拡大している。一方で電力、ガス、水道など生活に不可欠なライフラインの整備・運営を行う都市公社が約900社あり、電力小売事業者の半数以上(取引量ベース)を占めている。都市公社が地域に密着したサービスの提供を継続していくためには、主力事業である電力業務の効率化と収益性の向上が必要不可欠という現実がある。

日立はこうしたニーズに対応するため、電力の取引計画と運転計画の最適化を同時に行うためのシステムの実証をエンテガと共同で実施する。具体的には、電力取引市場でのサービスを手がけるエンテガの子会シティワークス(Citiworks)が、取引データやマーケティング、ノウハウなどで得られた情報と日立の最適化ソフトを用いて、市場価格に連動した電力取引計画と電力価格の変動に対応した発電所の運転計画を同時に策定。この計画を基に電力取引を行うことで、売上拡大と利益の向上を図る。

日立は同実証事業を活用して最適化ソフトの機能向上を図るとともに、エネルギーソリューション事業の新たなビジネスモデルの構築を検討していく。