化学・製薬業界が売上予測引き上げ

独化学工業会(VCI)は9日、同国化学・製薬業界の今年の売上高予測を前年比1.5%増の1,857億ユーロとし、従来予測の同1%増から上方修正した。石油価格の上昇を受けて出荷価格の上昇率見通しを従来の0.5%から1%へと引き上げたため。生産成長率については0.5%に据え置いた。

生産成長率をけん引するのは製薬部門で、VCIは2%を見込む。化学部門については横ばいを予想している。

2016年の業界売上高は1,830億ユーロで、前年を3%下回った。生産高は0.5%増加したものの、出荷価格が1.9%下落したことから、売上減となった。国内売上高は4%減の715億ユーロ、国外は同2.5%減の1,115億ユーロだった。工場稼働率は84%で、前年を0.5ポイント上回った。

化学部門の生産高は前年を0.5%下回った。VCIのウテ・ティルマン会長は記者会見で、同部門の生産高が12年以降、年率0.4%のスピードで低下していることを指摘。ドイツは化学産業の立地で競争上の問題を抱えていると懸念を示した。再生可能エネルギーの強化政策に伴う電力価格の上昇が問題だとして、政府に対策を促した。

化学部門の足を強く引っ張っているのはアジア、中東メーカーとの激しい競争にさらされる基礎化学品分野だ。研究集約型の特殊化学分野では12年以降、累積でおよそ8%増加した。

化学・製薬業界の16年第4四半期(10~12月)の売上高は前期比1.6%増の431億ユーロとなり、2四半期連続で拡大した。原料である石油の値上がりを背景に出荷価格が0.5%上昇したためで、生産高は0.2%減少した。特殊化学品と消費者向け化学品、医薬品が好調だった。工場稼働率は84.9%。

地域別では国内売上高が1.7%、国外が同1.6%の幅で増加した。国外はNAFTA(北米自由貿易協定)市場が12.1%増と特に好調で、アジアも3.3%拡大した。

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