ドイツ政府の経済諮問委員会(通称:5賢人委員会)は20日に発表した春季経済予測で、欧州中央銀行(ECB)の債券購入プログラムは年内に終了すべきだとの見解を表明した。ユーロ圏の経済成長率が高まり、これまで低迷していたインフレ率も急速に上昇しているためで、金融緩和政策を続けると金利リスクが高まるうえ、不動産バブルなどに発展する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
一方、米国や欧州連合(EU)から批判を受けているドイツの経常黒字については、5人の委員のうち4人がECBの金融緩和政策を受けた一過性の現象に過ぎず、今後は経常黒字の対国内総生産(GDP)比率が低下していくとの見方を示した。ただ、経常黒字の拡大要因の1つであるドイツ企業の国内投資抑制に関しては、企業の国外投資が拡大していることから原因は国内産業立地条件の悪化にあるとして、国内投資の促進策を検討するよう政府に促した。
ドイツの今年の実質GDP成長率については、昨年11月の前回予測から0.1ポイント引き上げて1.4%とした。建設投資と政府最終消費支出の見通しを上方修正した。